数学者は我々一般人よりも賢く、数字をいじり回すことで難解な宇宙の謎すら解くことができると思われがちだ。悲しいかな、必ずしもそうではないことをパウロス(数学音痴)は本書で示してくれる。株式市場という野放しのジャングルに秩序と科学をもたらそうとする奮闘をおもしろおかしく描いた本書の著者であるパウロス自身、実はかつて、かのワールドコム株に多額の投資をしていたことがある。
パウロスは、売るべき十分な理由があったのに、急落していく株に必死にしがみつき、数学の知識がウォール街のノウハウと必ずしも一致しないことを身をもって証明した。市場を予測するいろいろな数学的手法があるが、なぜ人々はそれらにすがろうとするのだろうか? エリオット波動といわれる非常に高邁な数学的波動・周期に基づいて株価が動くと信じる人々の鈍さに著者は驚きを隠さない。
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